実践リスク・マネジメント

リスク・マネジメントは2009年11月、国際標準(ISO31000)となりました。

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武井 勲の一言

中小企業のためのわかりやすいリスク・マネジメント入門 ―競争力と信用力の経営戦略 第1回

(2011年12月15日公開)

 

 東日本大震災から8ヵ月、世の中が復旧から復興へ向かおうとするなか、祈る気持ちで12兆円規模の第三次予算案通過を心待ちにしている人は多いのではないか。こうしたなか、災いを転じて福となす気概と政策が求められている。

 第1回となる今回は(1)本コラム12回の連載で、何を伝えていきたいのか(2)リスク・マネジメントとは何か(3)リスク・マネジメントがなぜ必要なのか、について述べていきたい。

 

1.中小企業者には夢がある

 この連載の主人公は中小企業、特にそのオーナーや社長である。それもやる気満々の気概、夢を持っている人を主対象としたい。

 夢をもっている人は、目標を掲げて、日夜努力をしている。その第一歩に計画を立て、実行する。そして結果と目標とのずれを調整し、また計画し、実行し、調整する。この「目標と結果とのずれ」を、この連載では「リスク」ととらえる。

 夢なき者は目標がない。目標なき者は、計画がない。計画なき者には、行動がない。行動なき者には、成果がない。成果なき者には、幸福がない。(『リスク・マネジメントの詩』より)

 

2.リスク・マネジメントとは何か

 夢、目標、計画、行動、成果、幸福をかく乱し、阻害し、その達成に立ちはだかるものがリスクであり、そのリスクを克服し、安全・安心・安定を獲得しようというのがリスク・マネジメントである。

 リスク・マネジメントは、中小企業家にとって「価値の創造と保全」である。「価値の創造と保全」に直結しないものは、リスク・マネジメントではない。むしろ、リスキー・マネジメントであると言える。

 リスク・マネジメントとしてつかんでほしいイメージは、次の3点である。

(1)「価値の創造と保全」に直結する経営と管理である。

(2)夢、目標、計画、行動、成果、幸福を達成するために、マイナスのリスクを回避・除去・低減・移転し、一方でプラスのリスクを取るチャンス・マネジメントである。

(3)そのリスクとチャンスを洗い出して測定し、優先順位をつけて処理し、見直し、改善するPDCAサイクルをまわすプロセスである。

 

3.リスク・マネジメントがなぜ必要なのか

 ビジョン、経営理念及び戦略が弱いと、投資家も、消費者も、従業員もついてこない。これはリスクだ。いくら夢があっても、品質が悪ければ売れない。品質がよくても、売り方が悪ければ売れない。品質が良く少し売れても、安定供給がなければ信用はされない。すこし調子が上がると、他の競争相手に侵食されてしまう。これらもみなリスクだ。リスクはいつでもどこでもある。なくなることはない。

 野球も、政治も、経済も、環境も社会も、このように予想できない変化に満ちている。変化は予想できず、対応できなければリスクになる。その逆はチャンスになる。リスク・マネジメントは、変化を予想し、対応できる準備を整えながらものごとを進めること、経営をし、管理するリーダーシップだ。

 経営と管理においても、「攻め」と「守り」の両方がなければうまくいかない。その両方をやることがマネジメントである。夢の実現を阻むリスクに対するマネジメントをしながら、チャンスをつかんで飛躍していくのがリスク・マネジメントということになる。

 東日本大震災、台風、未曾有の円高、さらには原発事故後の節電に伴う製造業等の海外進出(日本の雇用主の空洞化)、少子高齢化など中小企業の経営を取り巻くリスクは山積している。リスク・マネジメントで「いつでも夢を!」の時代を再現できるのか、事例探しと洞察を始めよう。

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